郷土教育に関する陳情書
平成二十一年九月00日
00市町村議会議長 0000様
鹿児島県議会議長 金子万寿夫様
陳情者
鹿児島県奄美市名瀬
「三七の会」主宰 薗 博明
1 〔趣旨〕
二〇〇九年の奄美は、「皆既日食」のおかげで国内外にその名を発信することができました。また、今年は島津藩が奄美・琉球を侵略・侵攻してから四百年を迎えます。
この大きな節目の年を契機として、奄美の過去と現在を確認し、未来への明るい奄美像を描いていきたいものです。
日本と世界に誇れる奄美の輝かしい宝の数々。それらは、それぞれの母なるシマ(集落)が生み育ててくれました。ですから、今後はそれぞれのシマの遺産(自然・文化・歴史など)を学習し、継承、発展させていくことが重要だと思います。そのために、奄美各地の学校教育と社会教育が連携して、それぞれの郷土教育のさらなる充実を図るための取り組みが必要であると考え、ここに陳情いたします。
2 〔陳情項目〕
(1)奄美の環境教育について。
奄美固有の自然、多様な生態系、先人たちとの係わり方などを、わかりやすく住民に教えてください。
(2) 奄美の郷土教育について。
奄美独自の伝統文化の特徴や重要性を、わかりやすく地域の住民に教えてください。
(3)奄美の歴史教育について。
類を見ない奄美の複雑な歴史を、わかりやすく地域の住民に教えてください。
3 〔陳情の理由〕
(1)奄美の環境教育
なぜ、奄美が「世界自然遺産」の候補地となっているのか、また、ユネスコから評価、認定されるためには行政と住民は何をしたらいいのか、してはいけないのか、ということなどが住民には周知されていません。たとえば、ブックレットやDVDなどの教材で具体的に解説し、体験させる必要があると思います。
(2)奄美の郷土教育
奄美のシマ島には重要な無形文化財が数多くあります。これらの伝統文化は継ぎ手がいなくなればやがて滅んでしまいます。実際、ユネスコは二〇〇九年二月二十九日(ママ、※発表は二月二十一日)、「シマ口」は日本語の方言ではなく、国際的な基準では独立した「奄美語」であり、「消滅の危険」にあると発表しました。各地の「シマ口、シマ唄、シマ踊り、シマ行事」などを守るための教育は特に急を要する課題だと思います。奄美の教育界では、戦前から復帰後にもシマ口の使用を禁止してきた責任があるからです。
(3)奄美の歴史教育
奄美群島はなぜ鹿児島県の行政管理化にあるのか、いつからそうなっているのか、その間、奄美ではどのようなことがあったのか、一六〇九年以前の歴史も含めて、奄美の出身者たちは、ほとんど知りません。奄美の歴史教育というものが全くなかったからです。00市町村におかれましては、『00市町村誌』のダイジェスト版(副読本)などを分かりやすく作成して地域住民に広報することも必要と考えるからです。